「おぉ…これはかなり香ばしそうなイノシシ映画がやってきたな」
はるかオーストラリアからの来日に労いの思いを込め、手に取ってみた映画のタイトルは…
『ボア』

今回はコチラの作品を鑑賞して思ったこと、感じたこと等を綴った記事となります。
これより先はネタバレなしで評価などを、その後はネタバレありで感想をお話ししていくので、鑑賞前の方はご注意ください。
※当ブログには物語のオチが気になる方向けに簡潔なネタバレを記した項があります。すぐには目に入らぬように開閉式としていますが、ご注意ください。
映画『ボア』について
- 監督、脚本、製作
クリス・サン - 原題
Boar - 製作
2018年 オーストラリア
本作の監督や脚本、そして製作を担当したのはオーストラリアのホラー監督、クリス・サン。
幼い一人娘を殺されたシングルファーザーの凄惨な復讐劇『拷問男』は「悲しく、切ないグロ映画」として日本でも一部から評価されています。
主なキャスト
- バーニー
ネイサン・ジョーンズ - デビー
シモン・ブキャナン - ケン
ジョン・ジャラット - ブルー
ロジャー・ワード - サーシャ
メリッサ・トカウツ
本作は90分そこらの映画なのに、やけに登場人物が多いんですが…メインとしてはだいたいこんな感じ。
一応の主人公キャラ(?)であるバーニーは『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』でリクタス役を演じた元プロレスラー、ネイサン・ジョーンズが務めています。
彼はこのほかにも、タイ料理「ソムタム」を食べると全身が真っ赤になって大暴れしてしまう小心者の主人公として『ジャイアント・チリペッパー』なんていう映画にも出ていますね。設定がスゴいです。
ストーリー
弟バーニーに会うため、オーストラリアのとある田舎町を訪れた姉デビーとその家族。
しかしこの頃、近くの農場では家畜の被害が多数報告されており、ある町民は付近で巨大なイノシシを見たとも訴えていた。
そんな中、カフェの店主サーシャは農場の柵を修理しに行ったっきり戻ってこない父ケンと、その友人ブルーの身を案じ、バーニーに2人の捜索を依頼するのだが…
ラスト、結末のネタバレ

映画『ボア』のオチが気になる、話を軽くおさらいしたい方は下のボタンをどうぞ。
実はケンとブルーは例の巨大イノシシによる襲撃を受け、柵の修理に出た当日の夜に死亡していた。
そしてのちに2人の捜索に出たバーニーと、彼と直前まで郊外で遊んでいたデビーたち家族、彼らもまたそのイノシシに襲われる。
その結果、デビーの夫のブルース、娘エラの彼氏であるロバートは殺され、息子のバートは行方不明に。
バーニーは傷を負っていたが、残されたデビーとエラを守るため、彼は自ら盾となって彼女らを逃がす選択をするのだった。
バーニーの勇気によって窮地を脱し、鬱蒼とした森の中に逃げ込んだデビーとエラ。
しかし、バーニーは倒されてしまったのか、後を追ってきたイノシシが2人の前に立ちはだかる。
もうダメか…と思われたその時。偶然、近くを捜索にきたサーシャが事態に気づき、乗ってきた車ごとイノシシに激突。
チャンスを見出したデビーはその車の荷台にあったライフルを撃ち、イノシシの息の根を止めることに成功するのだった。
緊張からは解き放たれたものの、家族を失ったことによる悲しみを抱いて町へ帰る3人。
道中、死亡したと思われていたバーニーとバートを見つけ、少しの元気を取り戻した一行だったが、彼らはその車のすぐ後ろを追うイノシシの存在に気がつくことはなかった。
イノシシはまだ生きていたのだ。
※あくまで要約です。映画にはこんな文章では表しきれない「味」や「魅力」が多くあるので、鑑賞前の方はぜひ一度、本編も観てみてください。
評価
『3/10点』
えっ…本当に僕はイノシシ映画を観たんですか?
謎の二部構成。チープさが前面に出たイノシシ。これはさすがに退屈極まる。
以下、本評価のおおまかな内訳です。
ストーリー | |
配役・演技 | |
演出(音楽/映像など) | |
企画・アイデア |
感想(ネタバレあり)

※これより先はネタバレ要素を含む感想となります。鑑賞前の方はご注意を。
ところでこの“ボア”って単語を目にしたとき、自分の頭の中ではヘビの存在がニョロニョロとよぎったんですよね。というのも昔『ボアVSパイソン』って映画がありまして…。

(C)2004 BLAZE PRODUCTIONS LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
その中では2匹の大蛇が出てくるんです。あとあと調べてみたところ、ボアもパイソンもヘビの種類を指す言葉みたいなんですよねー。
その時はふーん…と納得して終わったのですが、今度は本作『ボア』が巨大イノシシをテーマに描かれた作品として登場したので「あれれ?ボアってヘビのことなんじゃないの?」とびっくり。
どうやら日本語の読みでは同じでも、アルファベット表記にしたときに違いがあるみたいで、
・boa=ヘビの一属、一科
・boar=イノシシ、去勢していないブタ
と違いがあるそうです。いやー、何かどうでもいいところで一つ賢くなりましたw
感想
残念なホラーテイスト
なるほどなるほど…こういう攻め方で来たわけか~。
巨大イノシシが暴れ回るパニック・アクションと聞いて、血、牙、銃、イェーーー!!!と頭をスッカラカンにして鑑賞していた自分はちょっと面食らいましたww
作中に出てくる巨大イノシシは文字通り猪突猛進なパワーアタックもするけれど、闇に紛れて背後から牙グサァァァ…なんてスニークプレイもしてのけるし、
イチャつきカップル即襲撃、単独行動するやつ即襲撃…と、ホラーの定石も分かっているなかなかのキレ者。
『拷問男』などの作品を手がけているクリス・サン監督らしく、ホラーテイスト強めなアニマル・パニック・アクションといった感じの作品ですね、これは!
海外版のポスターを見てみても、日本版よりも物々しい雰囲気漂う印象を受けます。

© PIG ENTERPRISES 2018
でもまぁ、このホラーテイストな作りなんですけど、「作品の面白さに直結していたか?」と考えるとちょっと別問題で…正直、残念だったところも。
巨大イノシシの繰り出す無情なる殺戮への恐怖の煽り方、襲撃時のゴア表現はまずまずだったものの…。
動きが異様にヌルヌルだけど迫力には富んでるCGイノシシや、まるで赤べこのように首を振ってるだけのハリボテイノシシなど、登場シーンによってイノシシの造形がバラバラな上にサイズまでマチマチ。
襲撃シーンは大体がハリボテの方なんですけども、絵的には古臭さが勝っちゃって物足りない印象を持ちました。
また巨大イノシシによって明らかに顔面を串刺しにされた女性が次のシーンでは普通に喋っているなどの不整合性や、
のちに退場する人物たちのシーンだけで本編の5分の3が占められたり、主人公が誰なのかイマイチ掴めないまま進むストーリーのテンポの悪さ…など、
作品を楽しむ上での障害も多いために、ホラー的な静けさがただの退屈な時間へと成り果てていたように思います。
飽和状態なサメ系パニック・アクションと違ってイノシシの出る映画は物珍しいので、自分としてはもっとド派手にやって欲しかったというのが正直なところです!
ネイサン・ジョーンズの役が惜しい…
自分がこの『ボア』で最も惜しいなー…と感じたのは、元プロレスラーで211cmもの長身を誇るネイサン・ジョーンズが演じたバーニーの使い方。
終始化け物に圧倒されるだけの物語に突然力自慢の大男が出てくるんだから、牙の1本や2本余裕でへし折ってくるようなアツい展開を期待したんですが、
突進してくるイノシシを体ひとつで受け止めることもなく、ただただ他の家族と逃げ回るだけのつまらない役になっちゃっていました…。すごくもったいない…。
最近の作品に例えると『MEG ザ・モンスター』で古の巨大サメ相手に大立ち回りを演じたジェイソン・ステイサムや、
『スカイスクレイパー』で超高層ビルでの大暴れを見せた“ロック様”ことドウェイン・ジョンソンなどと同じような、
いわゆるスーパー無敵兄貴枠としての活躍を望んでいたのに、「なんでイノシシへの恐怖のみに焦点を当てて撮っちゃったんだろう…」と思わずにはいられません。
申し訳程度に一騎打ちのシーンなんかもあるけれど、やっぱりイノシシの方が強くてバーニーのパンチはまるで通じないし、戦いはずーーーっと劣勢だったのにラストではあの登場。
そこを端折るんじゃねぇ!!どう窮地を脱したかについて説明しろや!!!と怒り心頭、不完全燃焼です…。
川遊びのシーンではまるで子どものように邪気のない笑顔を見せたり、パブでは悪質な客に対して喉輪落としをキメたりと、
巨大イノシシとの対峙シーン以外では魅力的な描かれ方をされていたばっかりに、もっと彼の活躍する姿を観られなかったことがとても残念に思えました。
コメント
26点…まれに観る酷い点数ですね(笑)
一瞬借りに行こうか?と迷いましたが…借りなくて良かった💦
レビューありがとうございました。
B級作品に甘い自分でもこの点数なのです(-_-;)
気になったものは観た方がいいといえどもこれはオススメしませんww
こちらこそ読んでいただきありがとうございます!!
偉そうで面白くないレビューですね!
読んでいても好印象を全く受けませんので…うーん…12点!
あらあらさん、コメントありがとうございます!
映画レビューのレビューをされるのって何だか新鮮な体験でイイですね。点数はかなりの赤点ですが(笑)
マイペースに更新、頑張ります!
おかげさまで途中でみるのやめられました
コメントありがとうございます。
鑑賞はリタイアされたのですね。イノシシ映画自体は数が少なくレアなために、このようなデキだったのが悔やまれます…