
ジャンルのなかでは物珍しい気もする“イノシシ”にフィーチャーした映画『ボア』を観ました。
乾燥した、だだっ広いオーストラリアの平野を血で染めてゆく巨大イノシシと、その襲来に立ちむかう一家の姿を描いたアニマル・パニック・アクション。
一家のメンバーには、オーストラリアゆかりの元プロレスラー、ネイサン・ジョーンズがキャスティングされています。
ともすれば、彼とイノシシの一騎打ちは当然の見どころ…とは誰もがお思いでしょうが、実際のところは「この見せ方はないだろう…」と、なんとも残念な気持ちになる映画でした。
余談ですが、英語でboarと書くとイノシシ、boaだとヘビの一種を意味するそうです。「そういえば、『ボアVSパイソン』って映画があったよな…」と調べていて知りました。すぐに忘れそうです。
※以降は作品紹介や簡単なあらすじ解説、ネタバレ要素ありの感想を綴っています。
トータル満足度:3.5
ストーリー「1.5」/演技「2.0」/企画・アイデア「2.5」/演出(映像・音楽など)「2.0」/エモーションの震度「1.0」
スタッフ&キャスト
監督・脚本
- クリス・サン
監督作:映画『拷問男』(2012年)
主なキャスト/役どころ
- ネイサン・ジョーンズ/バーニー
出演作:映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
役どころ:牧場主、デビーの妹。 - シモン・ブキャナン/デビー
役どころ:バーニーの姉。夫ブルース、子のエラとバートからなる4人家族の母親。 - メリッサ・トカウツ/サーシャ
役どころ:カフェ経営者、ケンの娘。 - ジョン・ジャラット/ケン
役どころ:牧場主、サーシャの父。
予告編(字幕版)
あらすじ
牧場の柵が壊され、家畜が襲われるなどの被害が続くオーストラリアの田舎町。そんな中、デビーとその家族らは、牧場を営むデビーの弟バーニーに会うためこの町へとやって来る。バーニーは姉たちを川べりのピクニックへ連れて行き、一方近くで連絡の途絶えた知人を捜しに出るが、そのとき、彼の乗る車を巨大なイノシシが襲う。傷を負ったバーニーはイノシシを追うが、逃走するイノシシはデビーたちのいる川のほうへと向かっていた。
WOWOWオンライン 映画『ボア』紹介ページ
遠くから聞こえた衝突音に驚き、様子を見にいこうとするブルースと、エラの彼氏であるロバート。イノシシはそんな彼らをなぶり殺し、川に残っていたデビーたちと、そこに合流したバーニーを次のターゲットに定める。
凶暴極まる巨大イノシシに立ちむかうは愚策。デビーたちは一目散に川べりから逃げだすも、追ってきたイノシシによってバートが連れさられ、バーニーはデビーたちを脅威から遠ざけるために殿を務めるのだった。
夜になり、鬱蒼とした森のなかに足を踏み入れるデビーとエラ。そんな彼女のもとに、バーニーとの戦いを終えたイノシシが襲いくる。
終始、劣勢を強いられる彼女たちを救ったのは、自前のジープでイノシシへの体当たりを決めたカフェ店主のサーシャだった。彼女は父ケンの捜索を依頼したバーニーすらも連絡がつかない事態を心配し、辺りを回っていたのだ。
デビーはイノシシがひるんだ隙にジープの荷台にあった銃を取り、何発も、ヤツの体めがけて撃ち込んだ。すると、イノシシはグッタリとその身を地に這わせ、動くことはなくなった。
帰りの道中、彼女らは行方不明になっていたバートと満身創痍のバーニーを見つけ、共に家路に着くが、乗っているジープのすぐうしろにまであのイノシシが忍び寄っていることは気づかなかった。ヤツはまだ、生きていたのだ。
感想(ネタバレ要素あり)

ボア
残念なホラーテイスト
なるほどなるほど…こういう攻め方で来たわけか~。
巨大イノシシが暴れ回るパニック・アクションと聞いて、血、牙、銃、イェーーー!!!と頭をスッカラカンにして鑑賞していた自分はちょっと面食らいましたww
作中に出てくる巨大イノシシは文字通り猪突猛進なパワーアタックもするけれど、闇に紛れて背後から牙グサァァァ…なんてスニークプレイもしてのけるし、
イチャつきカップル即襲撃、単独行動するやつ即襲撃…と、ホラーの定石も分かっているなかなかのキレ者。
『拷問男』などの作品を手がけているクリス・サン監督らしく、ホラーテイスト強めなアニマル・パニック・アクションといった感じの作品ですね、これは!
海外版のポスターを見てみても、日本版よりも物々しい雰囲気漂う印象を受けます。

でもまぁ、このホラーテイストな作りなんですけど、「作品の面白さに直結していたか?」と考えるとちょっと別問題で…正直、残念だったところも。
巨大イノシシの繰り出す無情なる殺戮への恐怖の煽り方、襲撃時のゴア表現はまずまずだったものの…。
動きが異様にヌルヌルだけど迫力には富んでるCGイノシシや、まるで赤べこのように首を振ってるだけのハリボテイノシシなど、登場シーンによってイノシシの造形がバラバラな上にサイズまでマチマチ。
襲撃シーンは大体がハリボテの方なんですけども、絵的には古臭さが勝っちゃって物足りない印象を持ちました。
また巨大イノシシによって明らかに顔面を串刺しにされた女性が次のシーンでは普通に喋っているなどの不整合性や、
のちに退場する人物たちのシーンだけで本編の5分の3が占められたり、主人公が誰なのかイマイチ掴めないまま進むストーリーのテンポの悪さ…など、
作品を楽しむ上での障害も多いために、ホラー的な静けさがただの退屈な時間へと成り果てていたように思います。
飽和状態なサメ系パニック・アクションと違ってイノシシの出る映画は物珍しいので、自分としてはもっとド派手にやって欲しかったというのが正直なところです!
ネイサン・ジョーンズの役が惜しい…
自分がこの『ボア』で最も惜しいなー…と感じたのは、元プロレスラーで211cmもの長身を誇るネイサン・ジョーンズが演じたバーニーの使い方。
終始化け物に圧倒されるだけの物語に突然力自慢の大男が出てくるんだから、牙の1本や2本余裕でへし折ってくるようなアツい展開を期待したんですが、
突進してくるイノシシを体ひとつで受け止めることもなく、ただただ他の家族と逃げ回るだけのつまらない役になっちゃっていました…。すごくもったいない…。
最近の作品に例えると『MEG ザ・モンスター』で古の巨大サメ相手に大立ち回りを演じたジェイソン・ステイサムや、
『スカイスクレイパー』で超高層ビルでの大暴れを見せた“ロック様”ことドウェイン・ジョンソンなどと同じような、
いわゆるスーパー無敵兄貴枠としての活躍を望んでいたのに、「なんでイノシシへの恐怖のみに焦点を当てて撮っちゃったんだろう…」と思わずにはいられません。
申し訳程度に一騎打ちのシーンなんかもあるけれど、やっぱりイノシシの方が強くてバーニーのパンチはまるで通じないし、戦いはずーーーっと劣勢だったのにラストではあの登場。
そこを端折るんじゃねぇ!!どう窮地を脱したかについて説明しろや!!!と怒り心頭、不完全燃焼です…。
川遊びのシーンではまるで子どものように邪気のない笑顔を見せたり、パブでは悪質な客に対して喉輪落としをキメたりと、
巨大イノシシとの対峙シーン以外では魅力的な描かれ方をされていたばっかりに、もっと彼の活躍する姿を観られなかったことがとても残念に思えました。
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※全画面ボタンを押すと、よりワイドな画面サイズで視聴できます。

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※本予告は海外版のため、日本語吹替・字幕はありません。
※全画面ボタンを押すと、よりワイドな画面サイズで視聴できます。
コメント
26点…まれに観る酷い点数ですね(笑)
一瞬借りに行こうか?と迷いましたが…借りなくて良かった💦
レビューありがとうございました。
B級作品に甘い自分でもこの点数なのです(-_-;)
気になったものは観た方がいいといえどもこれはオススメしませんww
こちらこそ読んでいただきありがとうございます!!
偉そうで面白くないレビューですね!
読んでいても好印象を全く受けませんので…うーん…12点!
あらあらさん、コメントありがとうございます!
映画レビューのレビューをされるのって何だか新鮮な体験でイイですね。点数はかなりの赤点ですが(笑)
マイペースに更新、頑張ります!
おかげさまで途中でみるのやめられました
コメントありがとうございます。
鑑賞はリタイアされたのですね。イノシシ映画自体は数が少なくレアなために、このようなデキだったのが悔やまれます…