こんにちは、映画ブロガーのとあるです!
今回はハリケーンが上陸中のフロリダの街でとある父娘が体験した凶暴なワニとの対峙…そして浸水の進む我が家からの脱出を描いたサバイバル・アクション・スリラー
『クロール 凶暴領域』
について、感想や評価をお話しします!
人間VSワニの攻防が話の大部分として描かれる本作のジャンルはアニマル・パニック。
厳密に言うとディザスターの要素も加わっていますが、こういう系統のアクションやホラー、SF映画って基本的に劇場未公開作が多く、レンタルDVDショップなどでのみ取り扱われることが少なくありません。
その理由は多くありますが、作品自体の低品質さだったり、無名の監督or俳優による製作や出演で、興行収入が期待出来ないという配給会社の判断によるものが多いんですよねー。
そんなこんなで昨今、このようなジャンル映画の多くには“一部の人が好むB級映画、地雷映画”という認識が浸透してしまいました…が、この『クロール 凶暴領域』という映画はどうなんでしょう?
ジャンルとしてはその例にガッチリと組み込まれるような内容であるものの、2019年10月11日の劇場公開開始日から日本全国100館以上の公開が決まっており、
監督に『ピラニア3D』などのアニマル・パニック映画でも高評価を得たアレクサンドル・アジャ、製作に『スパイダーマン』シリーズの監督を務めたサム・ライミが携わる豪華っぷり。
B級映画ではよく『〇〇』のプロデューサー製作!とか『〇〇』のスタッフ再集結!…とか、もはや機能を果たしていないような謳い文句が乱立していたりもしますが、これには期待せずにはいられませんでした…w
というわけで少し前書きが長くなりましたが、以降、普段からレンタルDVDショップの店員として…そして一鑑賞者としてもB級映画に慣れ親しんでいる僕のネタバレ有の感想となりまーす。
またストーリーを知りたい方向けに分かりやすいネタバレ解説もご用意していますので、それぞれ用途に分けてお読みくださいね。
それでは早速、作品情報から…どうぞ!
この記事の目次
- 作品情報
- 主なスタッフ
- 主なキャスト
- 予告動画
- ネタバレ、結末
- 感想
- リアルなワニの恐怖を追求
- お荷物ティーンじゃない!
- 評価、まとめ
作品情報
主なスタッフ
監督、製作:アレクサンドル・アジャ
・18歳の時に映画監督デビューしたのち、『ピラニア3D』(2010)、『ルイの9番目の人生』(2016)などの監督を務める。映画監督の両親を持ち、父親の監督作『流血の絆/野望篇』(1982)では端役での出演経験も。
製作:クレイグ・フローレス、サム・ライミ
製作総指揮:グレゴリー・ルバスール、ジャスティン・バーシュ/脚本:マイケル・ラスムッセン、ショーン・ラスムッセン/撮影:マキシム・アレクサンドル/編集:エリオット・グリーンバーグ
主なキャスト
ヘイリー:カヤ・スコデラリオ
・『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)でカリーナ・スミス役を務めたほか、『メイズ・ランナー』シリーズではヒロインのテレサを演じ、本作のデイブ役バリー・ペッパーとも共演している。
デイブ:バリー・ペッパー
ベス:モーフィッド・クラーク/ウェイン:ロス・アンダーソン/シュガー(ペットの犬):チョチョ
予告動画
ネタバレ、結末
※この項は映画『クロール 凶暴領域』のあらすじを結末までネタバレしています。(所要時間:約1分半ほど)
※感想を読みに来たという方は以下のボタンを押してください⇒⇒⇒感想を読む

巨大ハリケーンの接近により、記録的な暴風雨に見舞われるフロリダの街。
その日、大学の水泳特待生ヘイリーは別居中の父デイブとの連絡が取れないことを姉ベスから伝えられ、彼の自宅へ安否確認に向かう。
しかし、そこにデイブの姿はなく、居たのは飼い犬のシュガーのみ。当の本人は一家が家族であった頃の自宅(現在は売り家)の地下室にて肩に大怪我を負い、意識を失っていた。
後に彼を発見したヘイリーはひとまず地上に運び出そうとするも、地下室には洪水を利用して入り込んでいたワニが跋扈。デイブの傷もこのワニによるものと判明する。
彼らの執拗な襲撃を受ける中、意識を取り戻したデイブの功で一旦は安全な場所への避難に成功する2人だが、地下室は大雨による浸水の影響で水位が上昇しつつあった。
抜け出そうにも階段付近にはもう1匹のワニがたむろしており、1階に続く別の出入口は重たい家具が邪魔をして通れない。
向かいの店舗に居た火事場泥棒や、付近を捜索しに来た避難誘導員のウェインもワニの餌食となり、救助も望めなかった。
かくなる上はただ1つ。ワニたちの侵入路である補助管を通って屋外に脱出するしかないのだった。
覚悟を決めるヘイリーに対し、デイブは父親としての責務を上手く果たせなかった後悔や謝罪を口にすると、自ら囮となってワニを引き付け始める。
探索中にはワニに重傷を負わされていたヘイリーだが、父の行動に応えるべく、補助管の中を泳ぎ切って外へ。再び窓から家に入り、地下室からデイブを救出するのだった。
何とか地下室での溺死を免れた2人とシュガー。しかし、ボートで避難を開始したところで堤防の決壊による濁流に見舞われ、大量のワニと共に家の中に押し戻されてしまう。
ヘイリーはワニによる“デスロール“の被害に遭い、デイブは腕を食いちぎられてしまうなどの災難もあったが、
その後、協力して屋上に到達した2人はそこで発煙筒を使用。遠くに居た救助ヘリがそれに気づき、こちらに向かってくるのだった。
感想
リアルなワニの恐怖を追求
はい…というワケで観ました!『クロール 凶暴領域』!!
鑑賞前からわりかし高めの期待値でもって臨んだ本作ですが、結論から言うと…面白かった!大満足な内容です!!
特に普段からB級アニマル・パニック映画を観て、説明不足な物語、役者の棒読み演技、雑なCGとその粗を隠すように全く姿を見せない動物の不完全燃焼感にズブズブになっているような人は、
「これが観たかったんだ!!」と多幸感で胸がいっぱいになるような出来だったのではないでしょうか?w
本数こそ少ないんですけど『ジュラシック・クロコダイル 怒りのデス・アイランド』などのワニ映画を鑑賞してきている僕としては…まるでご褒美映画のように感じられましたね(さりげないディス)
こういう系統の映画って前述のように動物自体のCGが雑だったり、それを恥じたのかスニークプレイという本末転倒な演出で鑑賞者に恐怖を与える内容になっていたり…
逆に以前このブログでも紹介したイノシシ映画『ボア』のようにイチからハリボテを手作りするも、チープ過ぎて結果に結びついていないといった作品が多いのですが…本作は別。
CGに使える予算がそれらの映画と何ケタ違うのかは分かりませんが…細部までリアルなワニをスクリーン上に描き出していました。
『ジュラシック・クロコダイル~』のようにワニが恐竜とのハイブリッドになっている訳でもないのに感じるこの恐怖。

実際に野生のワニが数多く分布し、2016年にはディズニーの敷地内で幼い男児がワニに襲われた事件なども記憶に新しい“フロリダ”という土地を舞台にしたことから推測するに、
アジャ監督としては元々の見た目や生態にほぼ忠実なワニの姿を、よりリアルな環境の中で追求することに重点を置いたのでしょうか。
実在する個体としてのワニが持つ怖さをしっかりと描写したことによって、彼らが複数体現れる地獄絵図な中盤からも恐怖は中弛みせずに続き、
大雨による浸水や川の決壊による濁流の影響で、思い出の我が家がワニたちの“凶暴領域”に変わる絶望感を存分に味わうことが出来ました。
また襲い方的にも序盤の「来るぞ来るぞ…キター!」というホラーチックな攻め方で挑んでくるワニから、
終盤、物語的にそろそろお開きな展開の時でも空気を読まない攻め方をしてくるワニまでいてウィットに富んでる…デスロールもアリで大満足ですね。
お荷物ティーンじゃない!
そして音信不通となっていた父親の安否確認のために、ワニ×ハリケーンの恐怖に苛まれることとなる主人公の水泳特待生ヘイリーを演じたカヤ・スコデラリオ。
彼女に対しては作品に彩りを加える…とまでは評価できませんが、襲い来るワニに居場所がバレぬよう息を潜めたり、逆に恐怖で過呼吸になりそうになるなど息の演技が緊迫感アリアリで好きでしたね~!
彼女が演じたヘンリーという役についても“パニック映画で足手まといになりがちなティーン像”を真っ向から否定するような役どころに好感を持ちましたし、
最初こそ水泳特待生という肩書きの必要性について考えていましたが、作中ではそれを交えた小規模ながらも味のある父と娘の人間ドラマも展開されていてGood
また序盤の水泳リレーをクロールで泳ぐヘンリーと、クライマックスで発煙筒を掲げる彼女の姿に見られた構図的な類似性…これは僕の深読みかもしれないですが、
父親との関係を繋ぐことが出来ていなかった序盤のリレーでは成績不振だった彼女が(リレーでは繋ぐという要素も重要ですよね)
数々の苦難を父と共に乗り越え、その中で途切れていた親子の関係を繋ぐことが出来たラストでは良い結果に漕ぎ付いた…というのを示すために同じ構図にしたんじゃないかな~…なんて。
ワニによって途切れた選手生命と、ワニによって紡げたもの…。アニマル・パニックに全振りしたように見えて、カヤ演じるヘンリーというキャラを上手く使った人間ドラマがニクい映画でした。
彼女がカリーナ・スミス役で出演した『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』を当時劇場で鑑賞してから早2年…。
同じく新キャラとして登場していたヘンリー・ターナー役のブレントン・スウェイツは以前『Z Bullゼット・ブル』という映画で主演を務めているのを見ましたが、カヤもよい作品、よい役に恵まれて着実にキャリアを積んでいるようで安心しましたね。
評価、まとめ
「サメには飽きた!今度はワニだ!」という公式の謳い文句に負けず、ハリケーンというディザスター要素を加えつつも、真っ向からワニの恐怖を描き切ることに成功していたように思う本作。
ドラマパートに若干の弱さを感じるけど…あれくらいでちょうどいいのかも。普段からB級アニマル・パニック映画に慣れ親しんでいる僕にとって、多幸感に包まれるご褒美映画となりました。
あ、ちなみにEDで流れていた曲はビル・ヘイリーの「See you later alligator」という曲で海外にはそんな言葉遊びもあるらしいのですが、この映画には曲中でも使われているお決まりのフレーズで返しましょう。
「After a while crocodile!」
また今度ね!…てか、このクオリティならすぐ来てくれても嬉しいよ~~…はい、ということで映画『クロール 凶暴領域』の評価を点数にして表すとしましょうか!うーん…
80点!!
といったところではないでしょうか??
そういえばアジャ監督。かつては寺沢武一の漫画『コブラ』の実写版製作を進めていたような…と思って調べてみたら、こんな記事を発見しました。
これだけのワニ映画を作れるなら、是非コブラ映画の方も進むと嬉しいなー…とは思いますが、日本のコミックの映画化にはヤバすぎる前例が多いので手放しの楽観主義ではいられませんねw
ということで今回はここまで。本記事に対するご意見、ご感想はコメント欄によろしくおねがいします!ではでは。