ネタバレ&感想。映画『キャッツ』:ジェリクルな猫による、ジェネリックな体験

ミュージカル
(C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
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ソレガシ

某レンタルビデオ店でのアルバイトに励む、ムービーラバーな大学生。たとえ安っぽく見えても、どこか“光るモノ”を感じさせてくれるB級映画が好きです。

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今回、僕が観たのは監督をレ・ミゼラブル(2012)のトム・フーパー、主演をフランチェスカ・ヘイワードが務める、2019年製作のアメリカ・イギリス合作映画

キャッツ

キャッツ ポスター
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T・S・エリオットの詩集をもとに作られ、今なお世界中で愛され続けているミュージカル「キャッツ」を多彩なCGにより映像化したミュージカル映画です。

まずはサラっと、スタッフ&キャストのご紹介から。


※当ブログでは一部の項にネタバレを載せていますが、読み進めただけでは目に入らない仕組みとなっています。未鑑賞の方は評価の項を鑑賞の目安などにお使いください。

スタッフ&キャスト

主なスタッフ

監督・製作・脚本:トム・フーパー

・『英国王のスピーチ』(2010)でアカデミー賞作品賞、監督賞を含む4部門を受賞。『レ・ミゼラブル』 (2012)はアカデミー賞3部門受賞に加え、その年の日本アカデミー賞最優秀外国作品賞にも選ばれた。

原作・原案:T・S・エリオット、アンドリュー・ロイド=ウェバー
脚本:リー・ホール

製作:ティム・ビーバン、エリック・フェルナー他/製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、アンドリュー・ロイド=ウェバー他/撮影:クリストファー・ロス/美術:イブ・スチュワート/衣装:パコ・デルガド

主なキャスト

ヴィクトリア:フランチェスカ・ヘイワード

・世界三大バレエ団の1つとしても称される、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル(トップ階級のダンサー)。映画『ロミオとジュリエット』(2019)ではジュリエット役を務めている。

マンカストラップ:ロビー・フェアチャイルド
ミストフェリーズ:ローリー・デビッドソン
オールド・デュトロノミー:ジュディ・デンチ
グリザベラ:ジェニファー・ハドソン
マキャヴィティ:イドリス・エルバ

ジェームズ・コーデン/スティーブン・マックレー/ジェイソン・デルーロ/レベル・ウィルソン/イアン・マッケラン/テイラー・スウィフト/ダニー・コリンズ/ニーブ・モーガン

ストーリー

イントロダクション

人間によって、 ロンドンの裏路地にあるゴミ捨て場に捨てられた幼い白猫ヴィクトリア。

そこではマンカストラップやミストフェリーズなど、多種多様な性格、様々な見た目をした“ジェリクルキャッツ”たちが集い、歌や踊りを繰り広げていた。

今宵は長老猫のオールド・デュトロノミーによって“新しい人生を生きることを許される、たった1匹の猫”が選出される、特別な夜。

猫たちを拉致し、自らが選ばれんとする凶悪な猫マキャヴィティが暗躍する中、ヴィクトリアは他の猫たちと共に舞踏会の会場へと足を踏み入れていくのだが…

予告動画

『キャッツ』日本版予告

ラスト、結末のネタバレ

ソレガシ
ソレガシ

映画キャッツのラスト、結末を知りたい方は下のボタンをどうぞ。


大食漢な猫、あまのじゃくな猫、泥棒を働く猫など、様々な猫たちとのふれあいを重ねていったヴィクトリア。

今回、長老猫のオールド・デュトロノミーに“たった1匹の猫”として選ばれたのは、ヴィクトリアがその身を案じていた猫グリザベラだった。

元は華やかで美しい猫でありながらも、今ではその美貌を失い、他の猫たちの侮蔑の対象となっていたグリザベラ。

ヴィクトリアはそんなグリザベラを優しくオールド・デュトロノミーの前へと誘うと、彼女は高らかに、そして力強く、今や過去のものとなった幸せを思う歌を歌い上げたのだ。

キャッツ グリザベラ
(C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.

“たった1匹の猫”に選ばれたグリザベラはその後、古びた劇場に設営されていた気球に乗り、幸せそうに天上へと登っていった。

一度はオールド・デュトロノミーの拉致に成功したものの、ミストフェリーズの魔法で計画を阻止されたマキャヴィティはその気球に必死にしがみついたが、結局は落ちていった。

朝日が登り、猫たちの時間は終わりを迎える。オールド・デュトロノミーはヴィクトリアの、純粋で、高潔な心をたたえ、「あなたは真のジェリクル・キャッツよ」と彼女に伝えるのだった。

キャッツ
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評価

映画キャッツに対する、僕の個人的評価(満足度)は…

ソレガシ
ソレガシ

4.0
です。これは…厳しいな。

ひとくち感想

老若男女を問わないキャスティング、さまざまな歌や踊りで、猫たちによって異なる性格の面白さを味わうことができたし、目に映る映像は幻想的。少なくともSNSで見られるような酷評のほどじゃなかった。「そもそもが映画化に向いてない題材だなぁ」「舞台はいいんだろうなぁ」とは正直、思うけれど。

感想(ネタバレあり)

メインコンテンツは面白かった

SNSなどでは、出る感想、出る感想のほとんどがカオスな大喜利オンパレードと化していた映画キャッツ

本当は観るつもりでなかったのだけれど、友人に誘われて、更には地雷と呼ばれる映画ほど観たくなるB級好きの血も騒いだために観にいってみました。

すると、巷の酷評に身構えていた僕としては少し、拍子抜け。これがそこまで酷いものとは、とてもじゃないけれど感じられなかったんです。

鑑賞後、キャッツに寄せられた「中身はほとんど猫の自己紹介じゃん」という意見に対し、「それがメインコンテンツ」と答えた方のブログを読んだのだけれど、

僕もそういうもんだと思って観ていたし、何なら僕の中に「性格の異なる猫たちのバリエーション豊かな躍動が観られたらOK」という考えがあったからなのかも。

そんな視点で観た時、歌手のジェイソン・デルーロは、自前の高音ボイスを用いて、舞台版「キャッツ」よりもアバンギャルドそうなラム・タム・タガーを演じていて、

レベル・ウィルソンは、ロマンス・コメディ映画、ナチス支配下のドイツ…どんな世界線に行っても失わない“らしさ”で、怠慢なジェニエニドッツの、変に野性的(?)な面を、ゴキブリの捕食という行為の中でユーモラスに表現していた。

終盤、“天上に向かう、たった1匹の猫”としてグリザベラがフォーカスされ始めると、途端に、それ関係で役回りのある猫がせめぎ合って、窮屈な展開になったようには思うけれど、

ここぞの場面で、力強く、時にか細い声で、グリザベラの心情に沿った「メモリー」を歌い上げたジェニファー・ハドソンはまさしく本作のベストアクトだった。

つまり、そんなこんなで僕は、それなりにキャッツの“メインコンテンツ”を楽しめたような気がするのだけれど、

それでも評価を星4/10に据え置いたのには、本作が舞台以上のジェリクルを感じることのできない、ジェネリックなものに感じたから…って理由が大きいんです。

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ジェネリック・キャッツ

jewelry+miracleでJellicle(ジェリクル)。本作に出てくるジェリクルキャッツとは、端的に言っちゃうと、自由に、したたかに、猫らしく生きている猫のことらしい。

舞台版「キャッツ」が世界中で人気を博しているのを見るに、多くの人々がこの猫たちの奇跡を見て、宝石のように輝く思い出を作ってきたんだろうと考えられるし、

僕からしてみたら、素晴らしいものと感じたその心、その体験自体も、jewelryのようで、miracleな、“ジェリクル”なもののように思えちゃう。

だから、ここでは、ワクワクやドキドキすらをも“ジェリクル”と捉えて話していくけれど、残念なことに、僕はこの映画キャッツにおいて、おそらく舞台版を超えるほどの“ジェリクル”を体験できなかった。

おそらくというのも、これは僕が舞台版「キャッツ」を未鑑賞だからなんだけれど、鑑賞中に「ここ、舞台ならいいんだろうなぁ…」と感じるシーンが多くて、

結局、ジェリクルというか、「あぁ、ジェネリックな体験をしてしまったなぁ…」という思いだけが、鑑賞を終えた僕の心に残ってしまったんです。

確かに映画なりの良さもあるにはあって、例えば、映画はイメージの可視化が簡単にできて、更には空間を360度ぐるりと見せられるから、パフォーマンスの幅は広い。

だけれど、そんな舞台にはない特性があるのに、トム・フーパー監督はキャラクターを写す時にはアップばかり。その癖、ダンスシーンではすぐに視点を変えちゃう。

オールド・デュトロノミー誘拐時、ミストフェリーズの背後では他の猫が彼の帽子の中を興味津々に探っていたのだけれど、案外、こういう遊び心みたいな描写が、本作にはもっと必要だったように思います。

猫って好奇心旺盛な生き物で、かと思うとそっけない。僕は猫のそういうところが好き。このシーンは、この映画の世界が本当に猫たちの暮らす世界なんだ…と感じさせてくれてイイ。だから、もっとワイドな画面でそれを堪能したい。

ダンスシーン。先に話した映画の特性的に、ついつい視点を変えて、猫たちの色んな表情を見せたくなったのかもしれないけれど、やっぱり、彼/彼女たちが一堂に会して踊っているときくらい、その一体感が伝わるように撮ってほしい。

僕はこのジェリクル、もといジェネリック・キャッツ。見せ方による失敗が、副作用として出ていたようにな気がしてならないんです。

酷い見た目を何とかしよう

最後に、これ、本当はメイン級に語りたい余談となるのだけれど、猫たちの見た目に関してはもうちょっと頑張れるところがあったように思います。

ふわっ、もふっ、ぶくっ…な感じがまるでない。人間の体のラインに、耳と、しっぽだけ付けたような、まるで全身タイツ猫。

もはや、岩井志麻子だらけで怖い。きょうてぇ。ぼっけぇ、きょうてぇ。

…まぁ、丸顔の俳優が演じた猫はいいんです。フランチェスカ・ヘイワードのヴィクトリアとか、テイラー・スウィフトのポンバルリーナとかはまだ猫っぽさがある。

だけれど、演じるのが骨格の異なる男性ともなると違和感の塊で、ロビー・フェアチャイルド演じるマンカストラッブとかは面長すぎて人感がすごい。

イドリス・エルバ演じるマキャヴィティが自身のコートを脱ぎ捨てるシーンでは、あらわになる姿が猫の自然な姿と知っていても、少しドキッとさせられちゃう。そんなドキッは求めてない。

逆に求めてる人には、ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間という、雪山での遭難からはまだ助かってもいないのに、ちょっと見つけた山小屋にて、ケイト・ウィンスレットと共に自然な姿になっちゃう彼が見られる映画がオススメなんだけれど、

まぁ、それはどうでもよくて、結局のところ、長毛の猫にしろ、短毛の猫にしろ、猫っぽさは毛の風合いが作ると僕は思う。

舞台版「キャッツ」の様子を覗いてみたら、顔のサイドにウィッグを付けて、猫らしいシルエットを作っていた。

だけれど、映画キャッツではCGでそのシルエットを作り出そうとして、ハビエル・ボテットが演じてもおかしくない、クリーチャー猫を生み出してしまった。

いわゆる手作りの温かみって、大事。いつか、それすらもCGが作り出せるようになるかもしれないけれど、それまではCGに頼らないアプローチも必要だなと感じました。

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最後に

トム・フーパー監督のオススメ作品

僕が行った映画館では、平日の昼過ぎでも程々の客入りがあった映画キャッツ

この盛況っぷりには原作の持つネームバリューなどの要因もあるかとは思うけれど、中には「『レ・ミゼラブル』を手がけたトム・フーパーの作品だから」という理由で観た人もいるんじゃないかと思います。

そこで今回は海外の大手映画データベース「IMDb」と、日本の映画レビューサイト「Filmarks」をもとに、彼が監督した作品の評価を足して2で割り、

トム・フーパーが監督を務めた、オススメの映画ランキングTOP3を策定してみました。それがこんな感じ。

星4.0『英国王のスピーチ』

イギリス女王エリザベス2世の父で、吃音を持つジョージ6世の伝記を映画化した歴史ドラマ。主演は『キングスマン』シリーズのコリン・ファレル。

星3.9『レ・ミゼラブル』(2012)

ビクトル・ユーゴーによる同名の小説をもとに、世界43カ国で上演されて大ヒットを記録した名作ミュージカルを映画化。主演は『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマン。

星3.8『リリーのすべて』

世界で初めて性別適合手術を受けたリリー・エルベの実話を描いた伝記ドラマ。主演は『ファンタスティック・ビースト』シリーズで主人公のニュート・スキャマンダー役演じたエディ・レッドメイン。

残念ながら本作では酷評を浴びてしまったトム・フーパー監督。しかし、監督した作品では母数こそ少ないけれど、軒並み高い評価を得ているみたいですね。

気になる映画があった方、観たいと思っていたのに機会がなかった方、これを機に観てみるのもいいのでは?

…ということで、今回はここまで。本記事に対するご意見、ご感想はコメント欄の方によろしくお願いします。僕は平沢進の「地球ネコ」でも聴いて寝るとしますね。ではでは。

コメント

  1. 観に行かれたんですね、自分評判悪いのでスルーしてました(笑)
    確かに、猫たちの見た目に関してはもうちょっと頑張った方が良かったですね。予告観て観に行く意欲が無くなってしまいましたもん💦
    ★4ということで、Netflix配信待ちとします。

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