こんにちは、映画ブロガーのとあるです!
今回は2019年7月5日より全国で上映が開始された俳優・藤原竜也と監督・蜷川実花の初タッグ作品となる異色のサスペンス映画、
『Diner ダイナー』
(C)2019 映画「Diner ダイナー」製作委員会
について、お話ししていきます!
いやー、早いもので2019年も既に半分が終わり、もう7月になりました。俗に言う下半期の始まりですね。
僕は毎週何かしらの映画を劇場で観ることにしているのですが、本作『Diner ダイナー』は僕にとって下半期の始まりを飾る1本となりました。
本作の監督を務める蜷川実花さんは毒々しい極彩色を作品に多用する人物ですが、僕はあの世界観が大好物でして…。
予告動画を初めて観た時から「これは映画館で観るぞ!」と胸に決めていたほど、公開を待ち遠しく思っていたんですよねー。
果たして期待値MAXで観た映画『Diner ダイナー』はどうだったのか?観た感想をネタバレ有でお話ししていこうと思いますので、よろしくお願いします。
また、映画は観てないけど「あらすじ、結末が知りたい!」という方には分かりやすい解説もご用意していますので、それぞれ用途に分けてお読みください。
ではさっそく作品情報から…どうぞ!
この記事の目次
- 作品情報
- 主なスタッフ
- 主なキャスト
- ストーリー
- 予告動画
- あらすじ、ネタバレ
- 感想
- 蜷川ワールドが炸裂する世界観
- アクション、サスペンス性は薄い…
- 豪華なキャストは無駄遣いか?
- 評価、まとめ
作品情報
主なスタッフ
監督、脚本:蜷川実花
原作:平山夢明
脚本:後藤ひろひと、杉山嘉一/音楽:大沢伸一
主なキャスト
オオバカナコ:玉城ティナ
ボンベロ:藤原竜也
スキン:窪田正孝/キッド:本郷奏多
無礼図:真矢ミキ/コフィ:奥田瑛二
マリア:土屋アンナ/マテバ:小栗旬
カウボーイ:斎藤工/ディーディー:佐藤江梨子/ブタ男:金子ノブアキ/ブロ:武田真治/川栄李奈/コムアイ/板野友美/木村佳乃/角替和枝/品川徹/真琴つばさ/沙央くらま
ストーリー
元殺し屋の天才シェフ、ボンベロが店主をつとめる殺し屋専用の食堂「ダイナー」。
日給30万円の怪しいアルバイトに手を出したばかりに闇の組織に身売りされてしまった少女オオバカナコは、ボンベロに買われウェイトレスとして働くことに。
ボンベロが「王」として君臨するダイナーには、全身傷だらけの孤高の殺し屋スキンや、子どものような姿をしたサイコキラーのキッド、不気味なスペイン語を操る筋肉自慢の荒くれ者のブロら、ひと癖もふた癖もある殺し屋たちが次々とやって来て……。
映画.comより
予告動画
あらすじ、ネタバレ
※この項は映画『Diner ダイナー』のあらすじを結末までネタバレしています。(所要時間:約2分ほど)
※感想を読みに来たという方は以下のボタンを押してください⇒⇒⇒感想を読む
幼い頃に母親に捨てられ、無味乾燥な人生を送るオオバカナコはある日、憧れの街グアナファトへの渡航費稼ぎで怪しげなバイトに応募します。
しかしその仕事でヘマをしたカナコは裏社会の人間に身売りされ、何故か殺し屋専用ダイナーのシェフ“ボンベロ”のもとでウェイトレスとして働くことに。

筋肉自慢のブロ、殺しのために全身を子どものように整形したキッドたち殺し屋への接客には最初こそ苦労しましたが、少しずつ仕事も板についてきました。
(C)2019 映画「Diner ダイナー」製作委員会
そんなある日、ボンベロの師で大組織の元ボス“デルモニコ”の死の真相を追う常連客スキンが血塗れ姿で店にやってきました。
処置を施したボンベロは彼の好物スフレに異物を混ぜて提供しますが、カナコにはそれが“完璧なスフレを食べたい”というスキン唯一の夢を守るための行動だとは分かりません。
異物の取り除かれたスフレを完食し、生きる理由を喪失したスキンは本人も無自覚に暴れ回り、駆けつけたボンベロによって撃ち殺されてしまいます。
激昴するボンベロは過ちを悔いるカナコに銃を向け「出ていけ!」と怒鳴りますが、カナコはスキンに託された謎の小箱を手に、自分の意思で店に残る選択をするのでした。
(C)2019 映画「Diner ダイナー」製作委員会
そのまた後日、店では直前に暗殺されたマテバを除き、コフィ、マリア、無礼図といった4人のデルモニコ傘下有力者が来店し、次期ボスを決める会合が開かれました。
その中で「ボスの死についてスキンは何か情報を掴んでいたのでは?」という話題を聞いたカナコがふとあの小箱を開けてみると、そこにはコフィが暗殺犯であることを示す証拠が入っていました。
それを見て怒り狂う無礼図はコフィを処刑すると、ちゃっかりマリアをも殺して新しいボスに就任。ボンベロの命こそ奪わないもののカナコを始末しようとします。
しかし、今まで多くの殺し屋相手に共に仕事をしてきたカナコは今や、ボンベロにとって大切な存在。カナコにとってもそれまた然りでした。
ボンベロは無礼図に歯向うと、手下共とも死闘を繰り広げながらカナコを脱出口へと導き、先に逃げるよう促します。
最初は嫌がるカナコでしたが、ダイナーでの生活で芽生えたという料理人になる夢を語り、「いつか店を開くから来てね。」と言って去っていきました。
ボンベロはあとを追ってきた無礼図と交戦すると、何発もの弾丸を撃ち込まれながらもダイナー中に仕掛けていた自爆装置を起動させるのでした。
(C)2019 映画「Diner ダイナー」製作委員会
カナコは今、憧れの地グアナファトで小さなダイナーを開いています。人気メニューはボンベロ直伝のレシピに少しアレンジを加えたハンバーガー。
街では死者の日を祝う催しが開かれる中、黒いコートを身にまとったボンベロが愛犬の菊千代と共に来店しました。
感想
蜷川ワールドが炸裂する世界観
海外映画…特にアメリカの映画を観ていると、日本ではあまり見かけない場所や店舗がお話に出てくることがあります。
イライラした主人公に家具を破壊されたり、サスペンス映画ではよく殺人の現場となったりするモーテルとか、
『パルプ・フィクション』に見られるような、日本人にとってはジャンキーすぎる軽食を提供するダイナーとか。
特に後者は美味しそうなメニューの他にレトロな内装なども相まって、映画好きの中には「いつかこんな店で朝食をとりたい!」と思う方も多い様。
本作『Diner ダイナー』もその名の通り、ダイナーを舞台にした話となってはいましたが、そこはさすがの蜷川実花監督といった感じでしたね。
多方面で活躍するアーティストらと共に持ち前の美的センスを生かし、ダークビューティなアングラ感で溢れるダイナーを創り上げていたように思いました!
宗教チックだったり、夢(といってもインフルエンザの時に見るようなw)の世界のようなテイストだったりと、部屋ごとに趣の違いこそありながら一貫して毒々しさを孕む内装は美しく、
厨房に用意される食材たちはシーンごとに違う同系色でまとめられていて、普段スーパーで見かけるキャベツ、ゴーヤとは違う役者な表情を見せています。
その食材で作られる料理も「やもすればあと一歩でグロテスクにすら感じそう…」ってラインのギリギリを攻めてくるから堪らない。
あれはほんとにキワッキワでしたよ…まさに美と汚物の瀬戸際。なのに何故だかヨダレが出てしまうんだから不思議です。
全編を通して蜷川ワールド炸裂の映像なので、観る人によっては「過剰な演出の連続でメリハリがない」とも感じられたかもしれませんが、
自分はもう「あぁ、ここはこういう世界なんだ」と割り切っていたし、むしろ「話の9割がダイナーの中なのに、よくぞここまでの世界観を構築したな…」と思って観てました。

舞台的演出も光る、蜷川ワールド満載の世界観。映画『Diner ダイナー』は自分のストライクゾーンど真ん中に入ってきてくれる作品でした。
アクション、サスペンス性は薄い…
実を言うと自分は「世界観さえ楽しめればいい!」と思って本作を観たクチで、前情報はサスペンス映画ですってことくらいしか仕入れていなかったのですが、
いざ観てみた時に、その謎解き要素の薄味さにはビックリしました。
うーん…何というか。居酒屋でガツガツボリューミーな宴会メニューを楽しんでいたのに、出てきた串揚げが全部野菜だった…みたいな?(例え下手過ぎ)
弱っちい証拠突きつけられて、マトモな嘘も付けずに「はい、僕がやりました」って…。アンタそれでも裏社会の大物か??
例え砂糖の1粒1粒が従っても、自分はこの展開には従いませんね…。(あ、例の「俺はぁ~、ここのぉ…中略」のシーンは良かったです。笑っちゃったけどw)
あとちょくちょく入るアクションシーンも何だかなぁ…って感じで、動作を見せたいというより、アクションしてる画を見せたいって思いがすごく伝わってくる。
画は確かにイイよ、でももういいよ。良くも悪くも写真家“蜷川実花”が出ちゃった感が否めません。お腹いっぱいです。
観ている途中で本作のメインが主人公オオバカナコの成長録であることには気づくし、サスペンスやアクションの要素が添え物なのは分かるんですけどね~…うーん。
豪華なキャストは無駄遣いか?
映画『Diner ダイナー』は前項でも話した通り、自分という存在の必要性も感じず、夢すらも確立出来ないオオバカナコが新たな考えを見つける“成長録”の色合いが強い作品でした。
ところどころ登場人物の考え方や行動に「?」となるような、共感出来ないところもありましたが、
“食うか食われるか”でなく、“食わせるか食われるか”なダイナーでのピリピリ感や、そんなイレギュラーな空間で自分を取り戻していく展開は面白かったですし、
スキン死亡時にボンベロが言った「叶わない夢の達成を夢見て生きてるヤツもいるんだ!」的な発言を鑑みると、
ラストでカナコの営むダイナーに現れたボンベロは実は死んでいて、カナコの「スキンと同じく叶わぬ夢を見ることもあるけれど、それだけじゃない。料理人になって強く生きているよ」…って思いの表現だって考察も出来そうですよね。
原作でも今のところボンベロの生死は不明なようですし、映画化にあたってはスキンの死の意味をも取り入れた良い終わり方だったと思います!
でも1つ思うのが、この話にここまで豪華なキャストを使う必要はあったのか?無駄遣いじゃないか?…ってことです。
“殺し屋”として名を連ねる役どころのカウボーイ&ディーディーを演じた斎藤工と佐藤江梨子や、ブタ男を演じた金子ノブアキらは冒頭数分で退場しているし、
裏社会を収める有力者の1人マテバを演じた小栗旬はクワガタムシを食った直後のシーンで、ジョン・エヴァレット・ミレーの『オフィーリア』よろしく溺死している始末。(彼は蜷川実花監督の次作『人間失格 太宰治と3人の女たち』で主演を務めてるらしいし、そういう遊び心かな…?)
誰がどこに出てるのかな?って探す面白さは確かにあるけど、ほとんどのキャラがその後のストーリーに絡まないし、物語への没入感が削がれる印象の方が強いように感じたんですよね。
蜷川実花監督はこれまでの仕事で紡いだ“縁”を大切にする傾向が強いのかもしれませんが、それがどこか一種の“人脈自慢”のようにも思えてしまう…。
カメオ出演レベルの殺し屋役でも世界観に溶け込む衣装が用意されていて、キャラのイメージと違うなと感じる人は少なかった印象ですが、
板野友美とか川栄李奈とかMEGUMIとかまで行くとちょっとやりすぎ…。無駄遣いと言われても仕方がないかなと思いました。
評価、まとめ
期待以上の蜷川ワールドがスクリーンを覆い、目に映るは毒々しい極彩色とグロ一歩手前なのに美味しそうな料理の数々…。
現代的な悩みを持つ主人公オオバカナコが、“食わせるか食われるか”な殺し屋専用のダイナーで自分を取り戻していく過程は大いに楽しめました。
サスペンスとしてみるとかなり拍子抜けだったり、豪華すぎるキャストは人脈自慢にすら見えてくるほどの無駄遣いだったりもしましたが僕は好きな作品です。褒めるところよりも粗の方が多いのになんでだろうなぁ…w
ということで映画『Diner ダイナー』を点数で評価するならば…
78点!!
やっぱり色んな方の感想を読むと視点が違って面白いですね!ここまで読んでくださった皆さんも他のブロガーさんの記事やレビューサイトを読み回ってみるといいかもしれません。
それでは今回はこの辺で。本記事に対するご意見、ご感想はコメント欄によろしくおねがいします。ではでは!