こんにちは、とあるです!
今回はアメリカの伝説的マフィアと呼ばれるジョン・ゴッティの半生を、製作総指揮も務めるジョン・トラボルタ主演で描いた映画、
『ギャング・イン・ニューヨーク』
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についてお話しします!!
最低映画を決めるゴールデンラズベリー賞(通称ラジー賞)の2018年度版において、『パペット大騒査線 追憶の紫影』らと共に最多6部門ノミネートを果たしたという曰くつきの本作。
惜しくも(?)受賞は逃してしまいましたが、『グリース』や『ヘアスプレー』、『フェイス/オフ』など、彼の出演する映画にはお気に入りの作品も多いのでさっそく観てみることにしました!
なお同じく2018年度のラジー賞で4冠、さらに最低映画賞なるグランプリを獲得した『俺たちホームズ&ワトソン』については当ブログでも扱っておりますので、ぜひぜひそちらも読んでみてくださいね♪
『俺たちホームズ&ワトソン』のネタバレ、感想はコチラ
この記事の目次
- 作品情報
- 主なスタッフ
- 主なキャスト
- 予告動画
- あらすじ、ネタバレ
- 感想
- 雰囲気の作りこみはバッチリ
- 詰め込みすぎはよくない…
- ジョン・ゴッティという人物
- 評価
作品情報
原題:『Gotti』
製作年:2018年
製作国:アメリカ・カナダ合作
上映時間:110分
主なスタッフ
監督:ケビン・コノリー
脚本:レオ・ロッシ、レム・ドブス
製作:ランドール・エメット、ジョージ・ファーラ
製作総指揮:ジョン・トラボルタ
主なキャスト
ジョン・ゴッティ:ジョン・トラボルタ(『パルプ・フィクション』、『フェイス/オフ』)
ジョン・A:ゴッティ:スペンサー・ロフランコ
ヴィクトリア:ケリー・プレストン/フランク・デヂッコ:クリス・マルケイ/アンジェロ・ルッジェーロ:プルイット・テイラー・ヴィンス/ニール・デラクローチェ:ステイシー・キーチ/サミー・グラヴァーノ:ウィリアム・デメオ
※太字=役名、細字=俳優名。括弧内は主な出演作。
予告動画
あらすじ、ネタバレ
※結末は知ってるからネタバレはいい!という方、先に感想を読みたいという方は下のボタンを押してください。
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感想を読む
1999年、収監中のジョン・ゴッティ(以下、ゴッティ)の元に、彼のいない間ファミリーを取り仕切ってきた息子のジョンが面会にやってきます。
ジョンはその時既に起訴されており、今までの過去を清算するために司法取引を受けたいと相談しに来たのでした。
それを聞いたゴッティは猛反対。ジョンを諭し始めると共にゴッティの半生も振り返られました。
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1973年、時のドン、カルロ・ガンビーノの甥を誘拐し殺害した犯人マクブラットニーを暗殺したゴッティはその後裁判で有罪になるも、悪名高い弁護士ロイ・コーンの弁護により3年という短い刑期で釈放。
息子の1人であるフランクを交通事故で失うなどの不運に見舞われながらも、組織の中でメキメキと頭角を現し始め始めます。
しかしそんな彼をよく思わない人物がいました。それはカルロの後を継いでドンになっていたポール・カステラーノです。

ゴッティは組織のNo.2であるニール・デラクローチェの元で働いていたのですが、予想に反してポールがドンとなったことで彼と対立。ポールはゴッティの勢いを削ぐため、彼が率いていた組の解体を進めていたのです。
ニールが癌に犯されてこの世を去った際、ポールが葬式に参列しなかったことに憤ったゴッティは彼の暗殺を企てると、ポールがステーキハウス「スパークス」で会合を行うという情報を聞きつけて、店先で実行。
その後、ゴッティは仲間の推薦によってガンビーノ一家の新たなドンに選出され、メディアは新・ゴッドファーザーの誕生だとはやし立てました。
しかし暗殺を共に実行した仲間のフランクが暗殺されるなど、その体制は盤石とは言えず、組織内部には不穏分子が存在していることが分かります。
ゴッティの幼馴染でもあるギャングのアンジェロは、指示に背いてフランク爆殺の犯人に暗殺者を差し向けましたが失敗。ゴッティはアンジェロを永久追放せざるを得ず、一年後、アンジェロは失意のうちに死亡しました。
何とか対立派閥との争いを避けたゴッティ。数々の罪で起訴こそされますが、その度に無罪を勝ち取り、いつしか「テフロン・ドン」という呼ばれるように。
その頃には既にゴッティと同じ道を歩んでいたジョンも組織内での地位を上げており、中退した学校の同級生キムと結婚するなど、ゴッティの人生は上々でした。
しかし1990年、ゴッティはポール・カステラーノ殺害の罪で逮捕、起訴され、一緒に捕まったサミーが証人保護プログラムに応じたことで5回の終身刑を言い渡されることに。街の人気者であったゴッティの逮捕は波紋を呼び、裁判所前では市民による暴動が起きました。
さらに攻勢を強める警察はゴッティの協力者であった各地の有力者やジョンの逮捕に踏み切り、以前からゴッティを憎んでいたメンバーたちは彼の腹心たちを排除し始めます。
ゴッティの逮捕からなるこの一連の騒動は「マフィアの時代は終わった。」とも言われるほど、彼らの急激な衰退を引き起こしていくのでした。
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ジョンとゴッティの面会時間は残り5分にまで迫っています。結局、両者の考えの溝は埋まりませんでしたが、ゴッティは最後に「強い姿勢でいろ」という言葉を残し、2人は互いにハグを交わして別れました。
その後、ゴッティはその後の2002年に咽頭ガンにより62歳でこの世を去ります。
刑務所でその事を知ったジョンは家族との暮らしを望んで司法取引に応じると、臨んだ5つの裁判全てで無罪を勝ち取り、晴れて自由の身となりました。
なおこの裁判において100人超の犯罪者が検察側から召喚されましたが、彼らはその後服役することなく、全員が釈放されたとのことです。
感想
雰囲気の作りこみはバッチリ
『ギャング・イン・ニューヨーク』の主人公ジョン・ゴッティを演じたのは、『パルプ・フィクション』のヴィンセント・ベガ役を演じたことでも有名な往年のハリウッドスター、ジョン・トラボルタ。
本作の企画に執念を燃やしていたという彼は自ら製作総指揮を務め、8年もの年月をかけてようやく公開にこぎつけたのだそう。
その結果は…というと前書きでお話しした通りなんですが、トラボルタ…
あなたの頑張り…僕には伝わった!(何様)
まぁ…彼が監督や撮影を担当したわけではないのでアレなんですけども、自分は作品に徹底された雰囲気の作りこみを観て、概ね高評価を持ちました。
特にゴッティの作りこみはかなりのこだわり。自分はジョン・ゴッティなる人物を本作で初めて知ったのですが、観終わったあとに本人の写真を見た時には驚かされました。
ジョン・ゴッティを知らないという方のためにお見せすると、本物のゴッティはこんな感じ。
一方でジョン・トラボルタが演じたゴッティはこれ。
顔の作りなんてゴッティとトラボルタじゃまるで違うのに、白髪頭に眉間のシワ、さらにはネクタイの柄まで合わせることで、ゴッティの持つ雰囲気をよく再現しているなと思いましたし、
見た目の他にも彼が派手好きで「ダッパー・ドン(粋なドン)」と呼ばれていたことを意識してか、作中で飲んでいるお酒はお洒落なカクテルに、
ギャンブル好きな性格でも知られることから、応援していた側がボロ負けして「F○CK!!!」と叫ぶシーンがちょこちょこ挿入されるなど、
ゴッティへのリスペクトや作品への熱意が各所に現れている作りとなっていました。また各年代を演じ分ける演技力もよかったですね。
でもその熱意は必ずしもいい方向に作用した訳でも無くですね…これが本作の評価の低さの一因になったのではと感じるところもあったんですよね。
それについては次の項でお話しします。
詰め込みすぎはよくない…

取捨選択というのはとても大事です。
それは本作のような人物の半生を描くような映画でも同じで、とある人物との出会いを描くのか描かないのか。描くならばそれは映像かナレーションか。そのシーンに一体どれほどの時間をかけるのか…と、作り手は常に取捨選択の判断をしなければなりません。
しかし『ギャング・イン・ニューヨーク』ではそれがほとんどされていなかった…。これが前項の最後に話したような“熱意の空回り”を感じた理由です。
要は描きすぎなんですよね~…。ゴッティの半生を描くために何もかも詰め込みすぎて、結局何の盛り上がりもない平坦な物語になっていました。彼に起きたことを順々に羅列しているだけで、
Wikipediaを読むのと何が違うの?
と思わざるを得ません。
さらにこれは自分がマフィアの歴史や内部構造に疎いからかもしれませんが、状況説明のために出てくる人物名が多すぎてよく分からなくなってしまうんですよね…。
例えば作中で新しくドンになろうと画策するゴッティにニールという人物がアドバイスするシーンを抜粋すると、
デヂッコがいる。ジョー・パイニーが加わるためにも。ギャロもだ。DBは重要だ。とても重要な調整役だからな。他の一家の承認も要る。フランクとサミーはブルックリンと親しい。ルッケーゼ一家は問題ない。ペスクッチを押さえればボナンノ一家も従う。コロンボ一家はアンジェロに任せろ。F・デヴィーコやB・ギャンズと馬が合う。
といったように、たった30秒ほどの間で14個もの固有名詞が出てくるんです。しかもそのほとんどが初登場。
地盤固めはしっかりしろよという内容なのですが、そこまで必要のない情報が流れ込んできて置いてけぼりにされてしまいました…。
先ほどはWikipediaを読むのと何が違うのかと言いましたが、まだWikipediaを読んでる方が分かりやすいし、面白いです。
人の人生を全部を描こうとせず、どこか数個をピックアップするだけに留める。不必要な情報は鑑賞者を混乱させるだけなので省く。
これだけで作品の印象はまた違ったものになったのではないかと思いましたね。
ジョン・ゴッティという人物
その派手な生活スタイルや洒落たファッションから「ダッパー・ドン(粋なドン)」と呼ばれていたゴッティ。
さらに彼には「テフロン・ドン」というあだ名もありました。
これは幾度となく起訴されたにも関わらず、なかなか有罪判決を受けなかったゴッティを、耐熱性、耐薬品性に優れ、傷もつきにくいコーティング素材“テフロン”に例えたあだ名です。
また彼はマフィアのボスでありながらテレビには積極的に映りに行くタイプだったらしく、裁判所に駆け付けたメディアを通してFBIを嘲笑うこともあったのだとか。
検察側からしたら相当憎たらしい相手だったでしょうね…。
このようなあだ名や振る舞いから、映画にするのに実に映えそうなゴッティという人物ですが、評価の面ではそう高くはないようです。
ネタバレの最後の方を読んでいただいても分かるかとは思いますが、彼は自身の逮捕により周囲を巻き込んだ一斉検挙を招いてしまったため、「マフィアを没落させた張本人」だという評価もあるのです。
本作での彼を見てみると「暗殺」、「何度もの裁判での勝利」、「クーデター」など華々しい人生とその後の「没落」が描かれていますが、
その実、暗殺は主に手下を用いてのものですし、計画は杜撰。裁判での勝利は優秀な弁護士と陪審員の抱き込みによるもので、クーデターは成功こそするものの組織を弱体化させています。
その結果、僕はジョン・ゴッティって何が凄かったの?という印象を抱いてしまったんですね~…。前項までにお話ししたピックアップの拙さも相まって余計に…ね。
評価
ゴッティを演じたジョン・トラボルタの雰囲気づくりや、各所に見られるこだわりにはいい印象を抱いたものの、
1人の半生を描くにはどのシーンをピックアップするのかがなされておらず、ただ史実通りになぞっていっただけの作品に仕上がってしまった感が否めない本作。
点数にして評価するなら~
45点!!
といったところでしょうか。ラジー賞に6部門ノミネートされても1つも受賞できなかった理由もなんとなくわかったような気がします。
そんな『ギャング・イン・ニューヨーク』は2019年5月8日より、全国のTSUTAYAやGEOなどでレンタル開始。
あ、ジョン・トラボルタは過去に『バトルフィールド・アース』という映画の製作と主演も務めたことがあるのですが、こちらは最低作品賞、最低主演男優賞など主要部門をほぼ独占して2000年代最低賞をも獲得した真の駄作らしいので、気になった方はどうぞ(僕はまだ観てません…w)
それでは今回はこの辺で。本記事に対するご意見、ご感想はコメント欄によろしくおねがいします。ではでは!