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ネタバレ&感想!今田美桜主演『カランコエの花』はLGBT映画の新たな金字塔!

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(C)2018 中川組
カランコエの花 ジャケット
製作:2018年 日本 (C)2018 中川組

その日、ある一つのクラスでのみ開かれたLGBTに関する授業。

いったいなぜ、このクラスでだけ?優しさが疑念を呼び、疑念が興味を呼び、興味が真実を突きつける…性の問題に戸惑う高校生たちのヒューマンドラマ、

今回のブログはそんな、映画カランコエの花を観ての感想です。

はじめはレンタルで観たものの、鑑賞後すぐに購入を決意。気づいたらAmazonのカートに入っていました。よかった…

※以降は作品紹介や詳しいあらすじ、ネタバレ要素ありの感想を綴っています。


トータル満足度:8.0

評価 :8/10。

ストーリー「4.0」/演技「4.0」/企画・アイデア「3.5」/演出(映像・音楽など)「3.0」/エモーションの震度「5.0」

※満足度・5つの内訳の見方と基準

スタッフ&キャスト

監督・脚本

  • 中川駿
    監督作:映画『尊く厳かな死』(2015年)

キャスト/役名

  • 一ノ瀬月乃:今田美桜
    役どころ:主人公、女子高生
    出演作:TVドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』…真矢愛莉 役


  • 矢嶋みどり/手島実優
  • 梶原千里/堀春菜
  • 小牧桜/有佐
    役どころ:月乃のクラスメイト、友人

  • 小嶋花絵/山上綾加
    役どころ:月乃たちが通う高校の養護教諭

  • その他のキャスト:永瀬千裕/笠松将/須藤誠/石本径代/イワゴウサトシ

予告編

ストーリー

とある高校2年生のクラス。ある日唐突に『LGBTについて』の授業が行われた。しかし他のクラスではその授業は行われておらず、 生徒たちに疑念が生じる。「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」生徒らの日常に波紋が広がっていき…

映画『カランコエの花』公式サイト

担任・加藤による火消しも功を奏さず、噂話で持ち切りとなる月乃のクラス。そんな中、月乃は「保健室で性の相談をしていた生徒」の話をクラスメイトの葛城から聞かされる。

心の片隅でLGBT当事者への興味を抱いていた月乃が問いただしたところ、出てきたのは友人・桜の名前であった。

前日も手作りのクッキーを振舞ってくれた桜。その日の学校の帰り、月乃は桜から「こんな形で伝えたくなかったんだけど…」と話を切りだされるも、月乃には「何かあった?」とわざとらしい、気丈な態度で答えることしかできなかった。

それから数日後のこと、登校した月乃を待ち受けていたのは、黒板に大きく書かれた「小牧桜はレズビアン」の文字だった。

静まる教室、はやし立てる男子、無言で席に着いている桜。桜が動きだしたのは、月乃が「桜はレズビアンなんかじゃない!」と、黒板の文字を消しはじめたときのこと。

教室を飛びだした桜は、慌ててそのあとを追う月乃や友人のみどり、千里に対して「黒板の文章を書いたのは自分だ」と明かしたのだ。

次の日、桜は学校に来なかった。月乃は泣きながら、カランコエの花のように赤い自身のシュシュを取り外すのだった。

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ネタバレなしの感想

リアルな空気感の作りこみ

邦画、特に青春ラブストーリーというジャンルの中では、最早ド定番とまでいえるほどに多く使われてきた高校という舞台。

自分はもう大学に通い始めて3年が経つので、高校の時の記憶は若干薄れつつあるのですが、あの独特な空気感は今でもよく覚えています。

カランコエの花でまず一番初めに驚いたのはその部分。舞台である高校の空気感が非常によく作りこまれているなぁ~…ってことです。

超個人的なことですが自分の通っていた高校にとてつもなく雰囲気が似ていたので、物語にスッと入り込めることが出来たんですよねw

これは本作に付いている83分の特典(なんと本編の2倍のボリューム!!)であるコメンタリー&トークで分かった事なのですが、撮影には茨城県立那珂高校の全面協力を得ているみたいなんですね。

全面協力というのも校舎、制服、通学用自転車…更には冒頭で描かれるオーケストラ部の演奏も、那珂高校の生徒が実際にやっているという徹底ぶり。

これはリアルにならないわけがない…。

しかしそれだけではなく製作陣やキャスト側による生徒たちのキャラクター設定もよくて、いつもグループでいる女子たちに、ちょっとやんちゃな男子たち、そんな男子たちにちょっとナメられてる先生など、

恐らく偏差値的見るとそうめちゃくちゃに低過ぎる訳ではないけど、決して高いとは言えない辺りの高校の雰囲気がよく出ていたんですよね~。

本作のような現実的なストーリーを描くにあたって物語の舞台は非常に大事。最初に違和感を感じてしまえば、後の話も別の世界の出来事のように感じてしまいます。

カランコエの花では高校という舞台をリアルに描いたことで、より物語の本質が突き刺さるものに仕上がっていましたね!

等身大の演技に物語が光る

前項でお話しした高校という舞台の中で展開されるのがカランコエの花の物語。

主人公 月乃やその他のクラスメイトはクラスで湧き起こった「この中にLGBT当事者がいるのでは?」という噂を聞いて初めてLGBTを直視し始め、のちに当事者と判明した人物Aと接していくこととなります。

その中では噂のLGBT当事者に対して嫌悪感を抱いたり、逆に不必要な好奇心を抱いたり…AがLGBT当事者だと知ってからは、困惑して気にしていない素振りをしたり、不自然に優しく接したり…と様々な生徒の姿が見られるのですが、

人生で初めて出会ったLGBTという存在に対し、青く狭い価値観で観ることしか出来ない彼/彼女らの感情が見事に表現されていたように思いましたね。

また外面的にはいくつもの優しさを受けながらも、その優しさが孕む無意識の攻撃性に傷つき、苦しむAの演技では心の痛みが鑑賞者にまで伝わる程の繊細な演技によって、物語への没入感が深められるのを感じます。

リアルな舞台の中で繰り広げられるリアルな演技は、映画を映画としてでなく、それが今現在起きている“日常の出来事”であることを知らしめてくれました。

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ネタバレ有の感想

相手の気持ちになって考える

良かれと思っての行動が、LGBT当事者にこうも辛い思いをさせてしまうのか…。

月乃や小島先生の一寸の悪意すら存在しない優しさが、受け取る側に大きな傷を残すという作中の展開に対して、自分はやるせない思いでいっぱいになるとともに、

本作に添えられたいくつもの思いやりが、ひとりの心に傷をつけたというキャッチコピーが心の中で木霊するのを感じました。

よく「相手の気持ちになって考えなさい。」なんて言うけれど、それを実践して成功させることが如何に難しいことなのか…この映画では痛いほどに感じさせられます。

しかし同時に、もし真に相手の気持ちになって考えることが出来たのなら、このような悲しい過ちは減るのではないか…とも思ったんですよね。

桜の真実を知った月乃や小島先生は彼女の持つレズビアンという性質にのみ囚われ、次第に「彼女はきっとこう感じる/感じているのではないか?」という自己中心的な考えを持ち始めました。

しかし、この時必要だったのはもう一歩先の考え方だったと自分は思うんです。

むしろレズビアンであることはとっぱらって、桜個人と向き合い、彼女の真の思いや願いを汲み取ることが重要だったのでは?と。

相手の気持ちを考える時にゲイだから、レズビアンだからというフィルターを通してしまうから、1番大切なことがぼやけてしまう。

もっと純粋に、もっとシンプルに桜と対話していれば、彼女の気持ちになって考えることはより簡単に出来たのかもしれません。

桜が黒板に「小牧桜はレズビアン」という文字を書き、自身の存在を示したのは7月7日のこと。

奇しくも皆が短冊にささやかな願いを込める七夕の日に書かれたその願いは、月乃の不必要な優しさによって打ち砕かれました。

いくつもの思いやりが、これ以上多くの人の心に傷をつけることがないように…

自分は皆がLGBTについて考えるきっかけとして、このカランコエの花をオススメの映画として挙げていきたいと思います。

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