ネタバレ&感想!今田美桜主演『カランコエの花』はLGBT映画の新たな金字塔!

映画 カランコエの花
(C)2018 中川組

こんにちは、映画ブロガーのとあるです!

 

今回は2017年のレインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)のコンペティションでグランプリを受賞した映画、

 

カランコエの花

 

(C)2018 中川組

 

についてお話しします!!

 

人種問題などと共に近年、日本でも大きく取り上げられるようになってきた問題の1つ、LGBT問題。

 

Lesbian(レズビアン、女性の同性愛者)、Gay(ゲイ、男性の同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別移行者)の頭文字を取って付けられたこの問題は、

 

多くの監督が自身の作品のテーマにと用い、『キャロル』『リリーの全て』など名作と呼ばれる作品から、最近でも2019年の4月27日に日本での公開もされた『君の名前で僕を呼んで』などの作品が生み出されました。

 

邦画では生田斗真がトランスジェンダーの女性役を演じたことで知られる『彼らが本気で編むときは』などの作品も話題となりましたよね!

 

今回お話しする映画カランコエの花もそんなLGBTに焦点を当てた物語であり、前述の通りに賞を獲得するほどの評価を得た作品なのですが、

 

本作の上映後にはLGBT当事者たちから「私たちの悩みをここまで的確に描いた作品は他にない。」「やっと自分たちを見つけてもらえて救われた。」などといった声が相次いだそうなんです。

 

 

この話を知った時、自分はこれこそが今観るべき映画なんじゃないかな…って思ったんですよね。

 

残念ながら上映館は多くなく、少し足を延ばしたらいける範囲の映画館でも上映時間のタイミングが合わずに劇場での鑑賞は出来なかったのですが、

 

2019年5月8日よりDVD&Blu-rayの販売とレンタルが開始されたので、さっそくレンタルして観てきました!

 

それではさっそく観た感想やストーリーのネタバレ、評価などをお話ししていこうと思います!

 

作品情報

主なスタッフ

 

脚本・監督・編集・企画中川駿

中島駿 監督

画像はgooニュースより

 

1987年、石川県生まれの現在32歳(記事作成時)。監督作に『尊く厳かな死』がある。

 


 

2015年に渋谷区で施行された同性パートナーシップ条例によって世間でも広く注目された「LGBT」を映画のテーマにするにあたり、センシティブな題材ゆえにどう扱えばいいか悩んでいたという彼は、

 

その悩みを仲間に相談したところ、その考え方自体が差別的なのでは?との返事を受けたことで自身の持っていた“無意識の偏見”に気づき、以来、自分なりの反省文という意味合いを込めて今回の作品作りを行ったそう。

 

監督作尊く厳かな死では祖父を尊厳死で見送った自身の体験に基づき、母親の尊厳死を受け入れるか否かで葛藤する家族を描いているそうで、そちらの方もぜひ観てみたかったですね!

 

その他のスタッフはこちら!

助監督・企画:柴田徹也/プロデューサー・企画:木佐優士/撮影:伊藤弘典/録音:内野達也/整音:空想サウンド開発局

 

主なキャスト

 

一ノ瀬月乃今田美桜

 

(C)2018 中川組

 

1997年生まれ、福岡県福岡市出身の現在22歳(記事作成時)。主な出演にTVドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』の真矢愛莉役、映画『君は月夜に光り輝く』の平林リコ役などがある。

 


 

本作カランコエの花について女友達に話した際、「主人公誰なの~?」との質問を受けて「今田美桜っていう女優さんらしいけど…」と答えたら、「えっ!!美桜ちゃん出てるの!?!?」と食い気味に返されました( ̄▽ ̄;)

 

自分は知らなかったのですが今をときめく女優さんのようですね。

 

6月には『メン・イン・ブラック』シリーズのスピンオフ作品メン・イン・ブラック:インターナショナルで初の吹き替えにもチャレンジするそうで今後の活躍も要チェックです!

 

しかし本作は主役である彼女以外にもクラスメイトや先生など、多くの人物に焦点を当てた作りとなっているそうなので、その他の登場人物を演じた俳優にも注目です。

 

その他のキャストについてはこちら!

 

(C)2018 中川組

 

左から月乃の友達であるクラスメイト、矢嶋みどり:手島実優/(月乃)/梶原千里:堀春菜/小牧桜:有佐

 

葛城沙奈:永瀬千裕/新木裕也:笠松将/佐伯洋太:須藤誠/月乃の母:石本径代/小嶋花絵:山上綾加/生徒:古山憲正/加藤健一:イワゴウサトシ

 

イントロダクション

 

「うちのクラスにもいるんじゃないか?」

とある高校2年生のクラス。ある日唐突に『LGBTについて』の授業が行われた。しかし他のクラスではその授業は行われておらず、 生徒たちに疑念が生じる。「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」生徒らの日常に波紋が広がっていき…

思春期ならではの心の葛藤が起こした行動とは…?

 

『カランコエの花』公式サイトより

 

予告動画

 

映画『カランコエの花』予告編

 

ネタバレなしの感想

リアルな空気感の作りこみ

 

邦画、特に青春ラブストーリーというジャンルの中では、最早ド定番とまでいえるほどに多く使われてきた高校という舞台。

 

自分はもう大学に通い始めて3年が経つので、高校の時の記憶は若干薄れつつあるのですが、あの独特な空気感は今でもよく覚えています。

 

カランコエの花でまず一番初めに驚いたのはその部分。舞台である高校の空気感が非常によく作りこまれているなぁ~…ってことです。

 

超個人的なことですが自分の通っていた高校にとてつもなく雰囲気が似ていたので、物語にスッと入り込めることが出来たんですよねw

 

これは本作に付いている83分の特典(なんと本編の2倍のボリューム!!)であるコメンタリー&トークで分かった事なのですが、撮影には茨城県立那珂高校の全面協力を得ているみたいなんですね。

 

全面協力というのも校舎、制服、通学用自転車…更には冒頭で描かれるオーケストラ部の演奏も、那珂高校の生徒が実際にやっているという徹底ぶり。

 

これはリアルにならないわけがない…。

 

しかしそれだけではなく製作陣やキャスト側による生徒たちのキャラクター設定もよくて、いつもグループでいる女子たちに、ちょっとやんちゃな男子たち、そんな男子たちにちょっとナメられてる先生など、

 

恐らく偏差値的見るとそうめちゃくちゃに低過ぎる訳ではないけど、決して高いとは言えない辺りの高校の雰囲気がよく出ていたんですよね~。

 

本作のような現実的なストーリーを描くにあたって物語の舞台は非常に大事。最初に違和感を感じてしまえば、後の話も別の世界の出来事のように感じてしまいます。

 

カランコエの花では高校という舞台をリアルに描いたことで、より物語の本質が突き刺さるものに仕上がっていましたね!

 

等身大の演技に物語が光る

 

前項でお話しした高校という舞台の中で展開されるのがカランコエの花の物語。

 

主人公 月乃やその他のクラスメイトはクラスで湧き起こった「この中にLGBT当事者がいるのでは?」という噂を聞いて初めてLGBTを直視し始め、のちに当事者と判明した人物Aと接していくこととなります。

 

その中では噂のLGBT当事者に対して嫌悪感を抱いたり、逆に不必要な好奇心を抱いたり…AがLGBT当事者だと知ってからは、困惑して気にしていない素振りをしたり、不自然に優しく接したり…と様々な生徒の姿が見られるのですが、

 

人生で初めて出会ったLGBTという存在に対し、青く狭い価値観で観ることしか出来ない彼/彼女らの感情が見事に表現されていたように思いましたね。

 

また外面的にはいくつもの優しさを受けながらも、その優しさが孕む無意識の攻撃性に傷つき、苦しむAの演技では心の痛みが鑑賞者にまで伝わる程の繊細な演技によって、物語への没入感が深められるのを感じます。

 

リアルな舞台の中で繰り広げられるリアルな演技は、映画を映画としてでなく、それが今現在起きている“日常の出来事”であることを知らしめてくれました。

 

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あらすじ紹介&ネタバレ有の感想

ストーリーのあらすじ、結末

 

ここでは『カランコエの花』のあらすじ結末まで記載されていますので、本作を未鑑賞の方はお気を付けください。

 


 

夏休みが目前に迫る7月4日、とある高校のクラスでは養護教諭の小島花絵によって、LGBTに関する授業が開かれました。

 

すると翌日、クラスの男子 新木裕也は昨日の授業について「クラスにLGBT当事者がいるから開かれた」との持論を展開。クラスメイトの中にも疑念が生じます。

 

話を知った担任の加藤は6日、その噂を否定するのですが、裕也は彼の癖からそれが嘘であることに気づき、皆の疑念は確信へと変化していくのでした。

 

そんな中、月乃の中にもLGBT当事者への興味が生まれ、彼女は友達 葛城沙奈が7月1日に見たと言う“保健室で性の相談をしていた生徒”が誰なのか尋ねてしまいます。

 

沙奈の口から聞かされたのは月乃の友達で、昨日も手作りのクッキーを振舞ってくれた小牧桜の名前でした。

 

カランコエの花 小牧桜

(C)2018 中川組

 

困惑する月乃はその日の帰り、駐輪場で偶然出会った桜に誘われ、自転車に2人乗りをして帰路に着きます。

 

しかし月乃が母から貰った、カランコエの花のように深い赤色のシュシュを桜が褒めた以外、2人の間に会話はありません。

 

すると桜は前でペダルを漕ぐ月乃を優しく抱きしめました。桜が好きなのは自分だったんだと知りつつも、何も言えない月乃。いつの間にか2人は桜が降りたいというバス停までやってきます。

 

別れ際、桜は「こんな形で伝えたくなかったんだけど…」と、月乃に対して何か思いを伝えようとしていました。

 

しかし月乃が「どうしたの?何かあった?」と無理して明るく聞き返したところ、桜は話すのをやめてバスに乗り込んでしまいます。

 

桜はその後、発車するバスに揺られながら一人、涙を流しました。

 

7日の朝、登校した月乃を待っていたのは、黒板に書かれた「小牧桜はレズビアン」の文字でした。

 

当の桜は静かに自分の席で座っていましたが、少し遅れて裕也と共にやってきた連れ 佐伯洋太だけは、この状況を面白がってはやし立てます。

 

裕也はそんな彼を諌め、月乃は「桜はレズビアンなんかじゃないよ!」と黒板の文字を消し始めますが、それを聞いた桜は教室を飛び出していきました。

 

月乃や友達は慌ててあとを追いましたが、桜は自分こそ黒板にあの文章を書いた張本人であると明かして校舎を去ってしまいます。

 

8日、桜は学校を休みました。彼女の欠席にクラスメイトは様々な思いを抱く中、月乃は付けてきていたシュシュを外して咽び泣きました。

 

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相手の気持ちになって考える

 

ここでは『カランコエの花』のネタバレとなる要素を含んで感想をお話ししていますので、本作を未鑑賞の方はお気を付けください。

 


 

良かれと思っての行動が、LGBT当事者にこうも辛い思いをさせてしまうのか…。

 

月乃や小島先生の一寸の悪意すら存在しない優しさが、受け取る側に大きな傷を残すという作中の展開に対して、自分はやるせない思いでいっぱいになるとともに、

 

本作に添えられたいくつもの思いやりが、ひとりの心に傷をつけたというキャッチコピーが心の中で木霊するのを感じました。

 

よく「相手の気持ちになって考えなさい。」なんて言うけれど、それを実践して成功させることが如何に難しいことなのか…この映画では痛いほどに感じさせられます。

 

しかし同時に、もし真に相手の気持ちになって考えることが出来たのなら、このような悲しい過ちは減るのではないか…とも思ったんですよね。

 

桜の真実を知った月乃や小島先生は彼女の持つレズビアンという性質にのみ囚われ、次第に「彼女はきっとこう感じる/感じているのではないか?」という自己中心的な考えを持ち始めました。

 

しかし、この時必要だったのはもう一歩先の考え方だったと自分は思うんです。

 

むしろレズビアンであることはとっぱらって、桜個人と向き合い、彼女の真の思いや願いを汲み取ることが重要だったのでは?と。

 

相手の気持ちを考える時にゲイだから、レズビアンだからというフィルターを通してしまうから、1番大切なことがぼやけてしまう。

 

もっと純粋に、もっとシンプルに桜と対話していれば、彼女の気持ちになって考えることはより簡単に出来たのかもしれません。

 

桜が黒板に「小牧桜はレズビアン」という文字を書き、自身の存在を示したのは7月7日のこと。

 

奇しくも皆が短冊にささやかな願いを込める七夕の日に書かれたその願いは、月乃の不必要な優しさによって打ち砕かれました。

 

いくつもの思いやりが、これ以上多くの人の心に傷をつけることがないように…

 

自分は皆がLGBTについて考えるきっかけとして、このカランコエの花をオススメの映画として挙げていきたいと思います。

 

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評価、まとめ

 

青春時代の空気感をそのままに、邪気のない偏見によってLGBT当事者、また周囲の人間に湧き起こる感情の機微を巧みに描いた映画カランコエの花

 

LGBTを知る上ではぜひ観ておきたい…いや、どんな人でも1度は観るべき作品のように感じました。まさにLGBT映画の新たな金字塔であるといえますね。

 

もしも点数にして表した場合は…

 

とある
とある

95点!!

 

と言ったところでしょうか?恐らくしばらくの間、自分は人にこれを勧めまくると思います…ww

 

映画カランコエの花2019年5月8日よりTSUTAYAGEOなどのレンタルショップ、またU-NEXTなどの配信サービスで取り扱い中。まだ観たことがない方はぜひ観てみてくださいね。

 

それでは今回はこの辺で。この記事に対するご意見、ご感想はコメント欄にお願いします。ではでは!

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