ネタバレ&感想!映画『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』

(C)Les Films Sauvages - 2016

こんにちは、とあるです!

 

今回は「赤ずきん」や「ヘンゼルとグレーテル」で知られるグリム童話に収録された作品の一つ「手なしむすめ」を、クリプトキノグラフィーと呼ばれる映像表現手法でアニメ化した映画

 

大人のためのグリム童話 手をなくした少女

 

(C)Les Films Sauvages – 2016

 

についてお話ししていきます!!

 

ストーリー

 

 

貧しい生活に疲れた父親によって悪魔に差し出され、両腕を失った少女は、家を出て放浪する。

不思議な精霊の力に守られた娘は、やがて一国の王子から求愛を受けるが、悪魔が娘と王子の仲を引き裂く。

娘は生後間もない子どもを連れて王宮を後にするが……。

 

映画.comより

 

予告動画

 

【予告編】『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』

 

スタッフ・キャスト

スタッフ

 

監督、脚本、編集:セバスチャン・ローデンバック

原作:ヤコブ・L・C・グリム、ウィルヘルム・C・グリム

音楽:オリビエ・メラノ

 

キャスト

 

少女:アナイス・ドゥムースティエ

王子:ジェレミー・エルカイム

悪魔:フィリップ・ローデンバック

父:オリビエ・ブロシュ 母:フランソワーズ・ルブラン

庭師:サッシャ・ブルド

 

あらすじ、ネタバレ

 

※この項を飛ばして感想を読みたいという方は、

下のボタンを押してください。

 

↓↓↓↓↓

 

感想の項を読む

 


 

ある所に父、母、娘(以降、少女)からなる貧乏な粉ひき屋の家族がいました。その家族は水車小屋に住んでいましたが、川の水は干からび、毎日の食事すらろくに出来ません。

 

ですがそんなある日のこと、薪割りに出ていた父のもとに悪魔がやってきて言いました。

 

「水車の裏にあるものをくれるなら、今より裕福な暮らしをさせてやろう。」

 

父は水車裏に生えているリンゴの木のことだろうと考えて、その申し出を引き受けます。すると今まで干からびていた川に黄金が流れ込み、家族はそれを元手に大金持ちになりました。

 

しかし悪魔が欲していたのはリンゴの木などでなく、その時そこで木登りをしていた少女の命だったのです。

 

後日、悪魔は約束通り少女を貰おうと家族の前に現れましたが、娘が直前に川で体を清めていたため触れることが出来ません。悪魔は富の没収を種に父を脅すと、また来ると言い残して去っていきました。

 

裕福な暮らしを手放すことに怯えた父は少女をリンゴに木の上に追いやって、簡単には降りられないように犬を数頭、根本付近に放ちました。

 

悪魔が再び姿を現したのは、優しい母が娘を助けようとしてその犬たちに食い殺された次の日のこと。幾日も木の上で過ごした少女は汚れてかなりの悪臭を放っていました。

 

しかし母を想って流した涙が彼女の体を清めていたため、またも悪魔は近づけません。業を煮やした彼は腹いせに少女の両手を切り落とすよう父に命じました。

 

それにはさすがの父もひるみましたが、追い詰められる父を助けようと自らの手を差し出す少女を見て、実行に移してしまいます。

 

それを見届けた悪魔が再会を示唆してその場を去ったあと、泣いて身悶える少女は富に目のくらんだ父に見切りをつけて、放浪の旅を始めるのでした。

 

その後しばらくして、父は誰もいなくなった豪邸で首をくくり、ひっそりとその人生を終えたといいます。

 

一方、家を飛び出した少女は川の精の導きによって辺りを統治する王子の庭を訪れており、そこに実っていた梨を一心不乱に食べていました。

 

その様子を目撃していた庭師は少女を不届き者として報告しますが、王子は夢で見たお告げ通りだと彼女を后にします。

 

結婚式で王子からプレゼントされた金の義手をはめた少女は幸せな毎日を送りますが、王子が戦地に赴くことになると、再び悪魔が暗躍し始めます。

 

少女が王子との子を出産した際には彼に宛てた手紙を「化物が生まれた」といった文面に書き換えたり、「そのような子だとしても大切に育てよ」という王子の返信をも偽装して、母子ともに殺すよう庭師に仕向けたり。

 

しかし庭師は王子がそんなことを言うはずないと思い、命令に従うフリをしてこっそり彼女と赤子を逃がします。

 

やがて戦争から帰ってきた王子が開口一番に妻子に会いたいと言っているのを聞くと、やはり手紙は偽物だったのだと知った庭師は事の顛末を告白するのでした。

 

王子がいくつもの歳月をかけて少女の居場所を探し当てた時、少女は川の精に導かれて安住の地を見つけ、そこで暮らしていました。

 

実用性に欠いた義手を捨て、自らの腕で地を耕しては庭師から貰った魔法の種を植えて育てる自給自足の生活。王宮を出る時に赤子だった息子も立派に成長しています。

 

しかし少女は手紙が偽装されていた事実を知りません。彼女は未だ王子が自分と息子の命を狙っているのだと思い、木の上で息子を守り隠れます。

 

すると少女の体に失われたはずの両手が戻っており、彼女は王子に飛びかかりました。しかし王子の持っていた斧で彼の顔面を叩き切らんとした瞬間、少女は息子に呼び止められます。

 

そして王子と冷静に話し合った結果、少女はやっと真実を知ったのでした。

 

それを見て悔しそうなのは、父親の件以来ずっと少女をつけ狙ってきた悪魔。

 

彼は彼女の愛する息子の命を奪うことで復讐してやろうと思いましたが、少女は持っていた斧を一振り。悪魔の首をはねます。

 

悪魔は悔しそうに捨て台詞を吐いて、二度と姿を現すことはありませんでした。

 

こうして再会を果たした少女と王子ですが、その後は王宮には戻ることなく、息子と三人で新しい地へと旅立っていったのでした。

 

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感想

クリプトキノグラフィー

 

大人のためのグリム童話 手をなくした少女に使われているという、クリプトキノグラフィーという映像技法…なかなか聞き慣れない言葉ですよね。

 

実際、この言葉で検索してみても本作についての記事ばかりだったのですが、それもそのはず。クリプトキノグラフィーとは本作の監督であるセバスチャン・ローデンバック自らが生み出したものだったのです。

 

簡単に説明すると、「原画に空白や省略を多く用いて、動画にした際のダイナミックな運動を表現する」というものだそう。

 

これについては予告動画を観ていただけた方が分かりやすいと思います。イメージとしてはスタジオジブリのかぐや姫の物語に近いですかね。

 

正直、独特な表現方法なので好みが別れそうにも思えます。最初は僕も少しだけ受け入れるのに時間がかかりました。

 

でも最後には今後も同じ手法を使った作品を観てみたいと思うほど、気に入ってしまったんですよね。

 

確かに正確に人物の輪郭などは描いていないものの、僕たちの脳はそれを勝手に補完してくれるので特に見づらいといったことはなく、

 

むしろ本当に描いた時よりも生き物の生命力や、感情の揺れといったものが克明に描かれているように感じました。

 

例えばこのシーン。

 

(C)Les Films Sauvages – 2016

 

少女の両手を切り落とすよう悪魔に迫られる父に対し、少女自らがその手を差し出す重要なシーンなのですが、彼女の体をよーく見てみてください。

 

かろうじて輪郭と目っぽいものがわかるくらいで、人間を描いてるにしては不鮮明すぎますよね。ロールシャッハテストに出てきそうなただの模様にすら見えます。

 

しかしこれが動画になったのを見てみると、少女の思いがそれはもう痛いくらいに伝わってくるアニメーションとなるのです。

 

ちなみに僕はこのシーンから父に対する怒り落胆半ば投げやりともいえるような諦めを感じました。

 

少ない情報量から多くのことを感じ取れるこのクリプトキノグラフィーという映像表現、まだ観たことない人にはぜひ一度チェックしてほしい代物です。

 

童話の持つ特性

 

言語学者のグリム兄弟がドイツ周辺の民話をもとに加筆や修正を施し、再編集した昔話集「グリム童話」

 

童話という字を見てもわかる通り、童(わらべ=子ども)のための話ではあるのですが、実はこのグリム童話の初版には、一部どうみても子ども向けではないような残酷な内容があることでも知られています。

 

例えば「灰かぶり」という題名で収録されていたシンデレラ。作中の彼女はガラスの靴ではなく金の靴を履いていましたが、姉たちが王子と結婚したいがためにその靴に合うよう親指を切り落とす展開があった…など。

 

大人のためのグリム童話 手をなくした少女の原作である「手なしむすめ」もそんな初版に収録されている物語ということで、プロローグだけ見てもかなり暗いお話となっています。

 

それには普遍的な物語の中に道徳や教えを込めるという、童話の教育的特性の強さから来るものではないかという論がありますが、

 

僕はこの現代社会に合わせて物語を再構築した本作の中にも、その特性が受け継がれているように感じましたね。

 

父からは金のために大切な物を失う愚かさ、少女からはその自立していく過程から女性としての在り方、そして悪魔からも一つのことに執着することの危うさなど、

 

まだまだ読み取れていないところもあるとは思いますが、80分を満たない本編時間に多くの思いが詰まった作品になっているように思います。

 

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評価

 

グリム童話に収録されていた物語をクリプトキノグラフィーという手法を使って、現代に再構築した大人のグリム童話 手をなくした少女

 

その作画の特異性には若干の戸惑いを感じたものの、結果としてこの物語とぴったりマッチしたものになっているのではないかと思いました。

 

ということで本作を点数にして表すならば~…

 

とある
とある

77点!!

 

本作を既に観た方、または観てないけどこの記事を読んでみて観てみたよ~って方、自分はこう思った!などの感想をお待ちしております!

 

また先日、とある記事に書いたネタバレの内容について事実と違うのではないかというご指摘を受けました。もしこの記事やほかの記事でも「ここはこうじゃない?」という意見がありましたら、お手数ですがコメント欄へのメッセージをお願いします。

 

ではでは。

コメント

  1. asami より:

    独特な方法で制作されているんですねー!
    たしかにスタジオジブリのかぐや姫っぽい作りですね。
    グリム童話ってほんと残酷なお話もあったりして、知った時はショックでした(;ω;)
    この作品も結構重そうですが、重いの大好きなので記事読んで観てみたくなりました(^ ^)

    私も最近、自分の記事についてコメント受けましたよー。
    コメントしてくれた方がとても詳しい方だったみたいで、素直に受け入れました。
    いろんな人が読んでいるんだなと思うし、読まれている証だと思って前向きに考えましょ(^ ^)
    とあるさんの記事、とても読みやすいですよー(^∇^)

    • とある より:

      コメントありがとうございます!
      そうなんですよー、でも作画の省エネ化から生まれた手法だそうで一部では雑とか手抜きとか言われているんですよね…( ;∀;)
      そうですね、誰にも読まれなかったら何の反応もないですしね。ありがとうございます。これからも頑張ろうと思います!